外的焦点化とペダリング

2017年10月27日

Peaks Coaching Group Japan認定コーチである南部さんのブログに興味深い内容があった。トレーニングするとき、どういった種類の注意を向けるとパフォーマンスがより向上するか、という話だ。

南部さんのブログエントリーが興味深かった件

興味を持ったのは「意識の仕方一つでスプリントが向上するというお話し」というブログエントリーだ。以下、このエントリーより一部引用する。

「外的焦点化」・・・自分の身体の動作が環境に及ぼす影響(動作結果)に向けられるもの。
(例)地面を押せ。スターティングブロックから爆発的に飛び出せ。

「内的焦点化」・・・自分の身体の動き(動作過程)にむけられるもの。
(例)臀筋を意識して踏め。一方の足で踏み込んだら素早く引き戻し、もう片方は出来るだけ前に振り出せ。

結論だけ書くと、内的焦点化(及び非焦点化)よりも外的焦点化の方がパフォーマンスは有意に向上するという。研究対象がスプリント運動なので、自転車のようなエンデュランス運動にもそのまま適応されるかは不明だ。しかし、なかなか興味深い。

仮にエンデュランス運動にも適応できるとしたら、ジストニアのリハビリにペダリング効率を指標にするのはなかなか良い方法だと言える。「太ももを引き上げる意識」等でペダリングを矯正することは内的焦点化だ。一方、「ペダリング効率を上げる」ことで矯正することは外的焦点化となる。

確かに、ジストニアになる以前は「太ももを引き上げる」とか「脱力」とか意識したことはほとんど無かった。今でこそリハビリのため太ももを引き上げるとかたまに意識するけど、パワーメーターを導入する以前は「下り坂を利用してケイデンス200rpm以上出すんだ!」とか「定点スプリントポイントで60km/h出すんだ!」って感じでやってた。今思うと、どちらも外的焦点化だ。

この話を読んで、ある言葉を思い出した。

Don’t think, feel.

(ペダリングを)どうこう考えるな、(ペダリングした結果(スピード等)を)感じ取れ。うーん、言い得て妙だな。

ちなみに、個人的にはペダリングした結果にパワーを当てはめるのはあまりよくないと思う。なぜなら、純粋にスピードを指標にするならタイムトライアルで勝てる可能性がどんどん上がっていくけど、逆にいくらパワーが高くてもレースには勝てない場合が多いから。もちろん、パワーを指標にすることで長時間高出力を出せるようにペダリングが最適化されていく場合もあるので、目的によって使い分けるといいだろう。

まとめ

外的焦点化のペダリングへの応用について、個人的な考察を述べた。外的焦点化がエンデュランス運動にも効果があるのかは研究事例が見当たらないため不明だが、個人的なケーススタディでは内的焦点化よりも外的焦点化の方が効果があると実感している。さらなる研究が期待される。

最後に

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アイキャッチ画像 by filip bossuyt “20-7_5 sky peloton"