イタリア滞在記

すでに昨年の話になってしまったが、出張でイタリアに行ってきた。目的地はトリノ。荒川静香がイナバウアーで金メダルを取った、オリンピック開催都市である。

トリノは自転車メーカーのGIOS発祥の地である。また、自動車メーカーのFIATもトリノの企業だ(FIATのTはTorinoのT)。

前回のノルウェー出張の際は、自転車に乗る時間がある程度確保できることははじめから分かっていた。今回の場合はスケジュールを見る限りかなり詰まっているようで、平日にトレーニングする時間を確保できるかどうかは分からなかった。ただ、約2週間の滞在で週末を1回挟むから少しくらい乗る時間はあるだろうということで、再び日本から自転車を持って行くことにした。

魔改造再び

持って行ったバイクは、ノルウェー出張の時と同様、折りたたみ自転車のPATTO BIKEである。

今回、少しでも軽量化すべくニューホイールを投入することにした。Amazonから購入したのはこれ。

KCDという会社が製造している韋駄天というホイール。実際に重さは計測していないが、カタログ重量は前後合計で1100gとなかなか軽い。

開封の儀。なかなかかっこいい。前後のエンド幅をちゃんと測定してから購入したのだが、実際にホイールを履かせてみるまでは結構どきどきだった。フロント74mm、リア130mmでちゃんと合ってたので安心した。

今回の魔改造のために揃えた品々がこちら。

前回はパンクでやられまくったので、予備チューブだけでなくタイヤブートとチューブパッチを用意した。タイヤはSCHWALBE ONEを惜しげも無く投入。しかし、予備タイヤを用意しなかったのがこの後の悲劇を生むのだが、このときは知るよしも無い。バーテープも購入したのだが、結局巻く時間が無くて今回もハンドルむき出し状態となってしまった。

クランクはペダリングモニターが付いているDura-Aceに交換。データ欠損を防ぐ。また、PATTO BIKEの方からフロントディレイラーバンドを頂いたので、フロントダブル化も実施した。

魔改造した結果がこちら。

滞在したレジデンスにて撮影。

PATTO BIKEはケーブルを内装できる仕様になっている。しかし、ケーブルを通すのが至難の業で、結局フロントシフターケーブルは外にむき出しとなってしまった。本体にビニールテープが巻いてあるのは、ケーブルを留めるためである。

今回もスーツケースに収めて持って行こうかと考えていたのだが、めんどくさいので輪行袋で持って行くことにした。しかもオーストリッチのOS-500という暴挙w

海外輪行は絶対と言っていいほどハードケースが推奨される(ハードケースにも関わらず損傷したという事例は、ググればいろいろ出てくる)が、持ってないので仕方が無い。PATTO BIKEの耐久性が試される。

出国~まさかのバゲッジ・ロスト

大阪からトリノの直通便は無いので、今回は伊丹→羽田→シャルル・ド・ゴール(パリ)→トリノというルートを選んだ。チケットを手配するのがやや遅かったため、パリまではANAだったが、パリからトリノまではエールフランスを利用した。

ただ、ANAはスターアライアンス、エールフランスはスカイチーム……。何か起きるだろうなぁと思っていたら、案の定自転車がバゲッジ・ロスト! やってくれるわエール・フランスw

どうもバゲッジをインターネットで追跡できるようだったので見てみたら、思いっきりシャルル・ド・ゴール空港に置き去りにされてた模様。結局、翌日の便でトリノまで運ばれて、さらに1日遅れて(イタリアクオリティ)自転車は私の手元にやって来た。

ドキドキしながら開封するも、まったくの無傷だった。なかなか丈夫である。しかし、本当の悲劇はこの後にやって来た。

ヴェナリーア・レアーレ

当初の予想通り、平日は全く乗る時間が無かった。そして迎えた週末。上司の方々と一緒に世界遺産を観光する約束をしたため、現地まで自転車で行くことにした。目的地は、ヴェナリーア・レアーレである。ヴェナリーア・レアーレは、トリノの中心部から北西に行った郊外にある世界遺産だ。自転車を駐車場にとめて施錠。ついでにPATTO BIKEを折りたたみ状態にしておく。PATTO BIKEの耐泥棒性が試される。

ちなみに、ヴェナリーア・レアーレはこんなところだ。

なかなか綺麗なところである。

悲劇発生

自転車も触れられた形跡は全く無く無事だった。自転車盗難が起こりやすい海外でも、PATTO BIKEなら常用できそうである(笑)

しかし、悲劇は忘れた頃にやって来る物だ。後数kmで滞在先のレジデンスに戻れるというタイミングで……

ブシュー! orz

盛大にフロントがパンクした。しかもその原因が、ブレーキパッドがタイヤに直接あたって削れてたという……。アホ過ぎる。ホイール変えたのに、調整するのを完全に忘れてた……。

チューブがはみ出てくるくらいタイヤに穴が開いていたのでこりゃかなり危険だなと思ったら、1kmも進まないうちに再びパンク orz やっちまった……。

小径車専門店へ

タイヤブートで復旧を試みるも、穴が大きすぎるため使用するのはかなりリスクが高い。通常ならすぐに破棄しているところだが、予備タイヤが無いためこれを使うしか無い。

どうしたものかと考えている内に、そういえばトリノで走っている自転車は小径車が多いということを思い出す。ならば、自転車店で小径車を扱っているに違いない! ということでネットでいろいろ調べたら、やはり小径車専門店があった。しかも、レジデンスから徒歩10分圏内だ。

Bike idというお店へ。

DAHONやBROMPTONなどの小径車が、ところ狭しと並んでいた。

残念なことに、406のタイヤしか置いてなかった。451のタイヤは取り寄せになるということだったので丁重にお断りし、店を後にした。

スペルガ大聖堂

翌日の日曜日は雨だったのでノーライド。再び上司の方たちと一緒にトリノ市内を観光した。次の週はひたすら雨、雨、雨。タイヤの状態が良かろうと悪かろうとライドできるような天気では無かった。

しかし、なんか物足りない。なんとかもう1回だけでも走っておきたい。パンクのリスクは非常に高いが、タイヤブートなどでかなり補強したので、短い距離なら持ってくれるはず……。

チャンスが訪れたのは、トリノを離れる前日の金曜日。ようやく天候も回復し、仕事も午前中で一段落。午後を早めに切り上げて、ライドすることにした。

目指すはスペルガ大聖堂。日本ではほとんどニュースにもならないヨーロッパツアーHC.1レースであるミラノ~トリノのゴール地点だ。なお、山本元喜選手による2016年のレースレポートがブログにアップされているので、興味のある方はどうぞ。2016年の優勝者は、アスタナのミゲル・アンヘル・ロペス

スペルガ大聖堂は標高669mの山の上にあり、そこに至る道は約4.8km、平均勾配約9%と、かなり厳しい登りである。体重が激重で右脚の違和感もあったので、えっちらおっちらゆっくり登る。27分22秒、平均233Wでなんとか登り切った。

頂上は霧がかかっていて、なかなか幻想的な雰囲気だった。

帰り道にパシャリ。

実は、この1週間雨が降り続いていたことに加えて木曜日が大雨だった影響で、トリノ市内を流れているポー川が洪水を起こしていた。現地の人に「木曜日は絶対に川へ近づくな」と念押しされたほど。大雨といっても、日本人の感覚から言えば台風より全然ましだし、梅雨時期の雨よりちょっと強いかな、程度だったけどなぁ。まぁ、川が氾濫したのでそれなりの雨量だったのは間違いなさそうだ。流石にこのようなことはトリノ市民にとっても珍しいらしく、たくさんの人がスマホで写真を撮ってた。

結局、心配されたパンクは起こらず、なんとか無事にレジデンスまで戻って来られた。

翌日(土曜日)、トリノを出発してフランクフルト→羽田→伊丹経由で日曜日の夜に帰宅した。

まとめ

イタリアのトリノへ行ってきた。元々乗る時間が確保できなかったことに加え、またしてもパンクの餌食となり、思うように走り回ることはできなかった。しかし、イタリアの雰囲気は満喫したし、なかなか良い経験をした。今度は仕事では無く、ジロ・デ・イタリアの観戦などで訪れてみたい。

最大の教訓:整備は隅から隅までちゃんとやろう

余談その1:トリノの自転車事情

またもや写真を取り損ねたのであるが、意外にママチャリが多い印象を受けた。また、先ほども述べたが小径車も多い。クロスバイク、ロードバイクはあまり見かけなかったが、週末にはローディーを多少見かけた。GIOSのお膝元ではあるが、そこまで自転車が盛んという感じでは無かった。

余談その2:機内映画

超大当たりの時期だった。個人的にスター・トレックが好きなので、最新作の「スター・トレック BEYOND」が見られたのは良かった。他に、「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」「ゴーストバスターズ (2016) 」「君の名は」「シン・ゴジラ」「ツール・ド・フランス2016総集編」等々。いやー、本を持ち込んでたのに全く読めなかったw

批評はしないけど、1つだけ……。ゴーストバスターズは駄(以下自粛