第6回まえばし赤城山ヒルクライム エキスパートクラス優勝

2016年9月28日

終わりよければ全て良し。様々な困難に直面したが、赤城山ヒルクライムのエキスパートクラスを制覇して今年最大の目標を達成した。

以前より常々、「今年最大の目標は乗鞍年代別より赤城山のエキスパートクラス優勝」と公言してきた。しかし、調整が難しいことは分かっていた。まず、1番追い込みたい大会3週間前という時期に海外出張が、さらに、大会直前まで出張が入ることが6月の段階ですでに分かっていた。そこで今回とった戦略が、「乗鞍で絶好調に持っていき、そのピークをできるだけ落とさないようにする」ことだった。

目論見通り、乗鞍は絶好調で年代別優勝を果たした海外でも若干ながらトレーニングを継続することができた。しかし、ここから状況は暗転する。レース2週間前に落車。擦過傷だけで済んだのは不幸中の幸いだったが、追い込もうと思った最後の練習で不完全燃焼。大きな不安を残してしまう。この期間は精神的にもかなり荒れた状態で、家族に多大な迷惑をかけていた。

その上、さらに大きな落とし穴が待っているとは思ってもみなかった。

摂食障害再び

実は、今までの記事には一切書いていなかったことが1つある。

過食症

これこそ、出張先にまでローラーを持ち込んだ真の理由だった。以前、菰野ヒルクライムが終わった直後に過食に陥ったことがあった。今回、まさにその再現がやってきてしまった。原因は、赤城山に向けて思い通りにトレーニングができなかった不安、体重を落とさなければならないという強迫観念といった種々のストレスだ。

過食症はすでに海外出張のときに現れていた。体重を減らそうとして食事量を減らそうと意識すればするほど食べてしまうという悪循環。このときから嘔吐の症状も出ていた。帰国して通常のトレーニングや食事ルーティーンに戻ったことで、一旦は症状が治まった。再び症状が現れ始めたのはレース1週間前の日曜日。テーパリングを始めた(=運動量を減らした)その日からだった。

宿泊先のホテルでは食べ過ぎないように朝食なしの素泊まりにしていたが、はっきり言って無意味だった。パン屋やコンビニで食べ物やお菓子を買い込み、食い散らかしては嘔吐する。いちいち食べたものの写真は撮っていないけど、レシートが残っている。

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うろ覚えではあるが、捨てたレシートの分も含めると総額で20000円近い。なんという金の無駄遣い。

食べた物の大部分を嘔吐するとはいえ、カロリーを摂取することには違いない。ローラーでカロリーを消費することで綱渡り的に体重を維持していた。K松さんから認定された「意識高い系サイクリスト」の正体は、精神的な病気を抱える廃人だったのだ

結局、ヒルクライム前日までの体重推移はこうなった。

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嘔吐とローラーによってなんとか体重の増加は抑えることができたが、精神的にきつい状態はレース当日まで続いた。

機材

ここからはいったん話題を変えて、使用機材について書いていく。

ギア選択はちょっと迷った。去年はフロント52-39T、リア12-25Tを選択した上に25Tをあまり使わなかったという前歴がある。しかし、今回はフロント50-34T、リア12-28Tと乗鞍の時と同じままにしておいた。52-39Tの方がチャンピオンクラス特有のアタックには反応しやすいが、50-34Tの方は軽量かつクロスレシオで、自分のレース展開に持ち込んだ時に有利だと判断したからだ。

次に、部品関係について。何よりもまず、落車して右STIレバーがぶっ壊れたので交換してもらった。交換の際にバーテープをはがす必要があり、「だったらこのままバーテープ無しで」ということで数g~十数gの軽量化。また、右側にこけた関係でやはりディレイラーハンガーが曲がっていたので、あえなく交換となった。

最後に、最近までパンクのため使用していなかったWH-9000-C35-TUのペアを復活させるべく、ニュータイヤを投入。

TUFOのElite Jet<160gである。その名の通り、重量約160gという超軽量チューブラータイヤで、ヒルクライム一発決戦用兵器である。パンクしていたのはフロントのみだったが、ここは前後ともタイヤ交換。去年のツール・ド・おきなわ以来、実に10か月ぶりの前後ペア復活となった。

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ジャイアントストア大阪で重量を測定した結果、このようになった。

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乗鞍の装備から約70gの軽量化。ただ、カメラ込みで6.8kgを下回った意義は大きい(?)。

レース前日

まえばしクリテリウム

今回のお供は兄貴、義姉さん、そして親父だ。ヒルクライムレースには兄貴、親父、そして私が参加し、義姉さんは写真を撮ってくれることになっていた。

私はエントリーしなかったのだが、大会の前座レースとして初めて開催される「まえばしクリテリウム」に兄貴が参加することになっていたため、仕事の都合により後から合流する義姉さん以外の3人で7時頃に東京を出発。私は体力的、精神的に相当疲れていたらしく、車の中で爆睡していた。10時半頃、駐車場に到着。親父と私はレースの準備をする兄貴と分かれて、観戦ポイントへ向かう。

12時40分、兄貴のエントリーするエキスパートクラスがスタート。市街地を封鎖した1周約3.5kmのコースを3周する。兄貴の実力を考えれば先頭集団に残れるのは間違いないとして、問題はスプリント勝負になったとき刺しきれるかどうかだ。結果……

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残念ながら5位という結果に終わった。ただ、手応えはあったらしく「無酸素系もだいぶ来てる」とは兄貴談。

レース後、私や親父の受付をしたり義姉さんと合流したりしてホテルへ移動。私は車の中ですでにグロッキー状態になっていたので、しばらくホテルの布団で横になる。本当に疲れていたんだな。正直、こんな状態で翌日のレースに出られるのかと心配になったが、親父にもらった栄養ドリンクを1本飲んだら回復傾向に。やはり、エネルギーとかビタミンとかいろいろ不足していたのだろう。

レストラン真樹

夕食は「レストラン真樹」でステーキをいただく。実は、去年もここでステーキを食べて翌日に兄弟でワンツーを達成したことから、験を担いだのだ。また験担ぎかよという突っ込みはなしだ。

シェフが少し席を外した隙にパシャリw

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仙台牛のサーロイン。非常に脂がのっていて、口に入れた瞬間に肉の旨味がふわーっと広がる。とてもリラックスしたひとときを過ごすことができた。

ホテルに戻り、11時くらいに就寝。

レース当日

2時起床。起床時体重55.30kg。自分が目標としていた体重より約3kg、乗鞍当日の体重より約1.5kgほど重いが、今までの経緯を考えたら上出来だ。

今回の朝食は、おなじみフルーツグラノラハーフを400gほど、LG-21ヨーグルト1個、バナナ1本、山頂で食べようかと考えていたSOY JOY2本とベイクドチョコ1本をフライングイート、コーヒー2杯とリポD2本投入。2000kcal以上は食べてる気がする。

朝食を食べながら、エントリーリストを確認する。ゼッケン1番のミヤケンさんは実業団で出場するとの情報を事前にキャッチしていたのでスルー。1番マークすべきは、レースでは初めての直接対決となるTeam UKYO Reveの乾さんだろう。あまり調子が良くないという噂は聞いていたが、それでも強いのは間違いない。その他に名前を知っていると言えば、K瀬さん、U尾さん、スライムさん辺りか。だけど、StravaによるとK瀬さんは山形にいるっぽいのでDNS? 他にもやばい選手がいっぱい紛れ込んでいたのだが、ハンドルネームと名前が一致しない人が多くてこのときは全然気づかなかった。

3時に起きるとか言ってた兄貴や親父は、3時20分頃に私が声をかけてようやく起床。下山用荷物は義姉さんに任せ、5時20分過ぎにホテルの駐車場でアップ開始。20分アップの後、5分280Wを目標に1本、結果5分平均290W、レスト5分はさんだ後、2分310Wを目標に2本(レスト3分)、2本とも平均325Wとなった。脚の感触は悪くない。

スタート地点に移動し、しばし知り合いと雑談。乾さんやK瀬さんいないな~と思っていたら、スタート直前になって乾さんに声をかけられる。ついにこのときが来たか。K瀬さんはやはりDNSのようだ。

事前に考えたレース戦略は、とにかく賢く立ち回ることだ。乾さんが単独でアタックしたらスルー、誰かに追わせて自分の脚は使わない。乾さんを含む複数人で抜け出しそうなら自ら潰す。ゴール前の小集団スプリントになれば勝ち目は薄いので、最後は独走態勢に持ち込むつもりでいた。

そうこう考えている内に、スタート時間を迎えた。

レース本番

レーススタート。

序盤は確実にスローペースになると予測していた通り、とてもぬるい。今年は1時間を切った選手に与えられるキングオブマウンテン賞(ころとんジャージ)が廃止され、皆タイムを出すモチベーションは薄いのだ。

しばらくは乾さんの近くでヒラヒラしていたが、あまりにぬるいので先頭付近へ出る。1人逃げているらしいが、このペースならあっさり吸収できるので放置。案の定、他の人が吸収してくれた。代わりに、カウンターアタックで別の選手が単独で逃げ始める。この選手がまぁまぁ良いペースを刻んでおり放っておくと視界から消えそうだったので、追走すべくお仕事開始。兄貴にも手伝ってもらい、畜産を過ぎた辺りで無事に吸収した……と思ったら、また別の選手がカウンターアタック! うーん、流石エキスパートクラスだなぁとか思いながら、乾さんじゃないのでスルー。

とりあえずローテでも回しながら様子を見ようと思って後ろを見たら、乾さんだった。前には出たがすぐに引っ込む。あまり引きたくなさそうな様子。噂に聞くキレッキレのアタックもない。この時点で乾さんは最後まで付いてこれないと判断、引きちぎるべくアタックを敢行! 先頭へジャンプアップする。

ここで想定外だったのは、誰も付いてこなかったことだ。集団を絞ろうと思っていたのが、まさかの2人逃げとなる。しかし、こうなってしまえば後へは引けない。「逃げましょう!」と向こうから提案されたので、当然受諾。2人で回し始める。しかし、集団は思ったほど小さくはなっておらず、まだ10~20人ほどいる様子。これは追いつかれる可能性も十分にあった。

結局、スタート地点から14km付近でもう1人の方が千切れていって独走態勢となる。完全に自分のレース展開に持ち込んだ。しかし油断はできない。今回はエキスパートクラス、集団の力は侮れない。何度も後ろを見返し、つづら折りのスイッチバックで集団が迫っていないか確認する。

案の定、最後のカーブを登り切り最後の直線に入ったところで、ものすごい勢いで迫ってくる選手を1名確認した。同じエキスパートクラスの選手だと直感的に悟ったので、私も全開で踏み倒す。6秒差で逃げ切り、何とかガッツポーズをとる余裕ができた!

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ゴール後、感極まって何度も叫んでしまった。恥ずかしい。

動画はこちら。

タイムはグロス59分39秒(ネット59分36秒)、平均282.0W (NP 287.2W)、5.1W/kgだった。

レースを終えて

レース後、他の選手と健闘をたたえ合う。最後に迫ってきていたのは、やはりと言うべきかU尾さんだった。いろんな方に声をかけていただいて、祝福していただいた。

後で聞いたところによると、乾さんは先週落車していたらしい(間違ってたらごめんなさい)。そりゃ本調子じゃないわ。

兄貴は、残念ながら21位。仕事やクリテリウムの疲れが残っていたか、本来の力を発揮することができなかったようだ。

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いろんな人たちを集めて記念写真。実業団E1優勝者を始め、優勝者、入賞者多数!

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レース後恒例(らしい)、曽山商店での集い。ナッカラ、β、COW群馬、上毛レーシング、グランペール、その他関東勢に混じって、大阪から異物が1名。

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お菓子などをいただく。楽しかった~。その後、とれたまさんと話ながら下山。パワトレの話とか、とても参考になった。

改めて結果を確認。

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そして表彰式。

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去年に続いて優勝! クラスが違うので2連覇と言うより2連続優勝と言うべきか。

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副賞はまさかの折りたたみ自転車……! この前買ったばっかりなんだが!?

本当はお楽しみ抽選会まで残りたかったけど、帰りが遅くなってしまうのでそそくさと撤収。そして現実が待ってる。

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北陸新幹線→東海道新幹線を乗り継いで、21時くらいに帰宅した。

まとめ

本当に紆余曲折があったが、一般(非実業団)最高峰クラスで優勝という結果を残すことができて本当に良かった。ただ、今回は本当に家族に迷惑をかけた。家族の協力がなかったら、今回の優勝はありえなかった。ごめんなさい、そしてありがとう。

さて、次戦はツール・ド・おきなわを予定していた。しかし残念なことに、おきなわ前後にまたもや出張が入るというスケジュールになっている。もし出場するとなると、「土曜日まで北九州で仕事、夜には沖縄へ移動→日曜日に沖縄でレース、その日のうちに大阪へ帰還→月曜日から海外出張へ出発」という超過密スケジュールとなってしまう。金銭的、ロジスティクス的に厳しいし、何より赤城でこの有様だったので恐らく沖縄を楽しめないと判断、出場しないことに決めた。はっきり言って出たい。出たかった。しかし、仕事あっての趣味、家庭あっての趣味だ。バランスをとらなければならない。

ということで、今シーズンは終了! お疲れ様! また来年!

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