全日本マウンテンサイクリングin乗鞍2016 ロードレーサー男子B優勝

2016年8月30日

どん底からの復活。2012年以来4年ぶりにフルコースでの開催となった「ヒルクライマー頂上決戦」で、年代別優勝を飾ることができた。

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍は、2年連続2回目の参加となる。なぜ乗鞍の人気が高いかと言えば、やはり20.5kmというロングコース、平均勾配6.1%という数字からは想像もできない緩急のある勾配、そして、自転車で走ることができる最高標高地点に向かっていくというコース特性だからだろう。ところが、ここ3年は悪天候により短縮コースとなっておりなかなかフルコースを走れない状況が続いていた。今年も、天気予報では雨模様……。皆やきもきしていたに違いない。

エントリーについて

去年は、強豪ひしめく年代別男子C(31歳~35歳)に上がる前のラストチャンスと意気込んで、男子B(26歳~30歳)にエントリーした。結果、短縮コースで3位となり惜しくも優勝を逃してしまった。このとき、30歳と1日。

これで優勝のハードルが高くなってしまったなと思っていたところ、今年の日程を見てびっくり。なんと誕生日前日が開催日ではないか! つまり、30歳と364日。まだ男子Bでエントリーできる! ここは確実に乗鞍年代別チャンピオンを獲りたいということで、今年も男子Bにエントリーした。

復活をかけて

しかし、エントリーしたときには想像もつかない事態が発生してしまった。ハルヒルが終わってから故障し、Mt.富士ヒルクライムでは50位というどん底を味わった。増える体重、上がらないモチベーション、荒れる精神状態。本気で自転車をやめようかと考えたこともあった。

そんな状態から這い上がることができたのは、家族や自転車を通じて知り合った方々のおかげだった。励ましてくれる方がいる。心配してくれる方がいる。何より、家族が応援してくれた。

そこから一念発起。乗鞍年代別制覇と赤城山チャンピオンクラス制覇という従来の目標に向かって、トレーニングや減量を再開。また、同じ轍を踏まぬよう、過去のデータや反省点を踏まえてトレーニング内容や食事内容を見直した。その結果、パワーは以前より明らかに増加。体重もこのようになった。

乗鞍前日までの体重 (54.40kg)

乗鞍までに間に合うかどうか分からなかったが、最後の最後にストンと体重が落ちてくれて、なんとか目標レンジ上限ギリギリには入れることができた。

乗鞍決戦仕様

今年も乗鞍へ向けてセッティングを変更した。用意したのはこれらのパーツ類。

チェーン、フロントチェーンリング50-34T、リアスプロケット12-28T。なお、普段使っているスプロケットは11-28Tである。違いは、12-28Tに16Tがあることだ。とても細かい点だが、ちょっとでもクロスレシオ化する狙いがある。

ジャイアントストア大阪でメンテナンスしてもらい、今回の乗鞍決戦使用はこのようになった。

めっちゃ普通w 後、カメラは譲れない! アウターが必要と踏んだので、去年みたいにフロントシングル化は行わなかった。ホイールは、フロントは完成車付属のカーボンクリンチャーSLR0(タイヤはブリジストンの軽量タイヤR1S)、リアはカーボンチューブラーのWH-9000-C35-TUとした。WH-9000-C35-TUのフロントは、タイヤパンク後にシーラントを突っ込んだだけの状態となっていてレースで使うにはあまりにも不安が大きかったので、使用を回避した。

カメラやサイコン込みの重量は……

6.81kg。ちなみに、今年の菰野ヒルクライムのときにほぼ同じ構成で測ったときの重量が6.93kgだった。フロントチェーンリングをコンパクト化するだけでも結構軽量化できるんだな。

レース前日

今回は、一緒に参加する兄貴と現地で落ち合うことになっていた。今年も車中泊にしたので、駐車場を確保するべく早めに出発。8時ちょっと前に家を出発して、13時半ころ現地に到着。兄貴は渋滞にはまって遅れるも、16時前に到着。無事に合流することができた。

会場では、大のTREK大好きっ子である兄貴がTREKブースにご執心。

さくっと受付を済ませた後、ちょっと早いが会場のすぐ横にある喫茶に晩御飯を食べに行った。カツカレーを食べながら参加者を眺める。私が参加する男子Bでマークしないといけないのは、TeamGreenRoadのU田さんやN治さん、上毛レーシングのK野さんあたりか。このときは昨年優勝のI井さんがいることに全く気付いていなかった。なお、男子Bは男子Aとの混走であるので、一応男子Aも確認してみる。しかし、知った名前はほとんどいなかった。

後は特にすることもないので、車の中でうとうとしていたらそのまま寝落ち。19時過ぎにはすでに寝ていた。

レース当日

1時20分くらいに1回トイレに行ってもう1回寝ようと思ったのだが、寒くてどうにも寝付けない。食べ物の消化時間を逆算すると丁度いい時間かなと思い、2時頃起床。運命の体重測定……。まさかの53.85kg。ここ3か月で最も軽い記録だった。

朝食は鉄板のフルーツグラノラハーフ。

今回は400gくらい食べた。プロビオドリンクタイプ低脂肪1本、バナナ1本、リポD2000を2本投入。2000kcalくらいかな?

天候は曇り。問題なくフルコースでレースが実施できそうなコンディションだ。事前の雨予報は覆された。

5時25分にローラーでアップ開始。5分290W目標で294W、5分レストしてから2分330W~340Wを目標に2本(レスト3分)、それぞれ337Wと336Wが出た。脚の調子は非常に良い感触だ。

チャンピオンクラススタートの5分前にスタート地点へ移動。ここまで知り合いに全く会えていなかったので誰かいないかな~と思っていたら、グランペールの田中氏を遠巻きに確認。「優勝しないと怒りますよ!」と激励を受ける。

男子A・Bの列に到達し、最後尾に移動しながらマークしてた選手を探すがなぜか見つからない。最後尾にもいない。あれ? ネットタイム計測なのにみんな最後尾じゃないのか? 結局、ライバルの位置が全く分からないままスタート時間を迎えた。目標は当然、優勝してのチャンピオンジャージ獲得である。

レース本番

予定通り、最後尾からスタート。予想よりもだいぶ早くメイン集団の先頭に追い付く。もう少し先に4、5名の逃げ集団が見える。正直、自分にとってペースはぬるい。無駄に距離が離れる前に追い付いたほうがエネルギーを使わなくて済むので、迷わずブリッツ。集団全員を引き連れて先頭を吸収した。しばらく要注意人物のK野選手の後ろでヒラヒラしていたが、私が先頭に出たタイミングで1人を除いて集団と少し間が空く。ならばとその方をそそのかして集団から飛び出しを図るも、流石に集団は許してはくれなかった。吸収されてからはその方と2回ほどローテを回すが、他の人はもう前に出てこない。結局、三本滝チェックポイントよりかなり前の地点から私の1本引きが始まる。ど根性比べの始まりだ。正確な人数は記憶が曖昧だが、三本滝通過時点で私を含めて約10名、中間地点で3~4名に絞られた。

そんなサバイバル戦の中、ある選手がずーっと付き位置でついてきていた。男子AかBか分からない。脚を貯めているのか、ついてくるのが精いっぱいなのかも見た目からは分からない。とにかく千切ろうとつづら折りごとにインターバルをかけ、直線でもペースアップを試みるがついてくる。うーん、まずい。

しかし、12km過ぎになってその選手が男子Aであることにようやく気づく。なんだ、千切る必要ないじゃん。じゃぁ協力してもらおうってことで、前に出てもらう。しかし、直後のつづら折りでその選手は勾配の緩い大外を、私は勾配のきつい内側のラインを通る。再び先頭が入れ替わり、そのまま千切れていった。どうやら限界ギリギリだったようだ。さらに、同じタイミングでK野選手との距離が少し空いたことを確認。ここが勝負どころとふんでペースアップし、完全に千切ることに成功。独走態勢に入った。

格付けが終了したので、後はゴールを目指すだけだった。最後は少し垂れてしまったがウェーブトップでゴール! 58分46秒、平均267Wだった。最後尾からスタートして最初にゴールしたので優勝を確信。思わず絶叫してしまった。

動画はこちら。

画面の動きに比べてハンドルやサイコンだけ動きが大きいのは、アクションカムの電子手ブレ補正機能がONだったためだ。

レースを終えて

レース後、お互いの健闘を称えあう。いろんな方とお話ししていると、当然のように私はマークされまくっていた。TeamGreenRoadのN治さんなどは、「絶対に前へ出ない(=私に前を引かせる)」と心に固く誓っていたらしい。

ブログ知り合い的ハイライトは、氷結のぞみさんとの邂逅。ハルヒルのときは表彰式ですれ違ったときに挨拶しただけだったので、ちゃんとお話しするのは初めてだった。

写真に写りこんでいるグランペール田中氏は、チャンピオンクラスで5位だった。あのメンツ相手に凄いわ。本人は満足してないかもしれないけど、私の年代別優勝より価値があると本気で思う。入賞おめでとう!

一通り知り合いとも話し終えてすることもないので、下山列に並ぶ。そこでふと気づく。最後発スタートの男子Cがそろそろゴールしてくるんじゃね……? 写真を撮るためにスマホを構える。兄貴が先頭で来い!……という願いは叶わず、別の選手がトップで登ってくるのが見えた。さらに数名のパックが通過。うお、入賞圏内ギリギリか……? ちょっと遅れてようやく兄貴がやってきた!

これは分からん。果たして入賞できたのだろうか。

下山してリザルト確認。

優勝確定! それより兄貴のリザルトは……!?

ギリギリ6位入賞! 私の誕生日が1日早かったり乗鞍の開催日が1日遅かったら、兄貴を表彰台から弾き飛ばしていたw セーフ!

そして表彰式。念願の乗鞍チャンピオンジャージを獲得。やはり中央はいいものだ。

続いて兄貴も表彰台へ。Mt.富士ヒルクライムでは入賞したのに表彰台へ登れなかったし、本当に良かった。おめでとう!

team SUNZOKUにも朗報が。チームからもう1人参加していたnovさんが男子Eで4位入賞! 直前に十三峠の自己ベストを更新するなど調子を上げていたので、やってくれると思ってました。おめでとうございます!

兄貴とは現地解散。スイスイと車を走らせ、20時ごろに大阪へ帰宅した。

家ではサプライズが待っていた。

優勝おめでとう & 1日早いバースデーケーキ。久々のスイーツだった。甘さ超控えめだったけど。

まとめ

レース内容からいえば、去年の赤城山ヒルクライムの再現だったと言える。先頭でレースを引っ張り、全員を力でねじ伏せる。完勝だった。

また、チャンピオンクラスを含めた総合タイムでも12位相当だった。上位陣が使用する機材は軒並み5kg台、対する私の機材は6.81kg。乗鞍は1kgの重量減で1分縮まると言われているので、タイムを延ばす余地はまだありそうだ。年代別と違って、チャンピオンクラスはアタックの応酬があるのでタイムだけで論ずるのはナンセンスかもしれないが、これでチャンピオンクラスでも戦えるという自信がついた。来年はチャンピオンクラスで優勝を目指す。

次戦は、今シーズンラストのヒルクライム大会であり最大の目標である赤城山ヒルクライムである。このレースはチャンピオンクラスでエントリーした。今年は実業団レースとの併催になるため選手が分散傾向にあるようだが、気を抜いてはいけない。ホビーレーサー最速を目指して、コンディションを整えていきたい。