Niseko Classic Road Race 140km Men Age of 40 to 44 19位

兄貴です。
今シーズンはハルヒル、富士ヒルをエントリー忘れという超初歩的なミスでスキップすることになってしまい、このレースがシーズン初戦になった。
150kmコースはかねてから獲得標高2,400m弱という本格的な山岳コース、かつ、ツール・ド・おきなわやJBCF、国内選手権大会などでも活躍する選手はたいていエントリーしているような大会でもともとレベルは非常に高いが、近年はさらに全体がレベルアップしているように感じられる。
特に、UGFWS (UCI Granfondo World Series)カテゴリにおいては上位25%(昨年だけ20%?今年は戻った)に入ると与えられる世界選手権大会への出場権獲得を目指す選手も多く、これだけでもかなりの難易度となっている。昨年はレースにいまひとつかみ合わない感もあったが、不甲斐ないことにパノラマラインどころか最初のピーク前で集団からちぎれてしまい上位20%にすら入ることすら許されなかった。
これを獲得するとUCIメダルが授与されることもあり、今年こそ先頭集団で最後まで勝負すること、出るからには上位25%に入ることを目標に今年も参戦することにした。

UCI Granfondo World Series 世界選手権プレ大会

各所で取り上げられているとおり、来年開催される世界選手権のプレ大会としての開催となり、これまでとは大きく性格が変わった。

コース

使用道路について大きな変更はないものの、前半のピークだったパノラマラインが後半となり、大きな登り2本がコース終盤というかつてなく地脚を試されるレイアウトとなった。
以前のコースであれば、パノラマラインを先頭集団で超えてしまえば、あとは終盤の三段坂などのパンチはあるが短い登りさえ耐えられれば生き残れたが、そういった戦い方は通用しない。

Ride with GPS | Bike Route Planner and Cycling Navigation App

スタート形式

昨年までは年代別の表彰とあわせて、総合、の区分が設けられているとおり、スタートは各年代別で1~2分間隔で出走していくが、アクチュアルスタートまでに全カテゴリーを一つの集団にまとめてからスタートが切られていた。
若者からスタートしていくので、年寄は明らかに不利なのだが、パレードなのに先導車が結構速いし、位置取りをめぐってニュートラル中から小競り合いがあり、さらにコースの短い起伏で集団が激しく伸び縮みするので、これまで参加してきたレースのスタートの中で一番ナーバスで一番嫌いなスタートだった。いつぞやはギリギリで回避したが、スタートしていないのに割と大きな落車が発生するとか何事って感じだし、同じ感想の人も多いはず……。
だが、UGFWS世界選手権では、完全にカテゴリーごとにセパレートされるため、これに合わせたレース形式になると予想した読み通り、5分間隔の完全にセパレートされたレースとなった。これで落ち着いてスタートできるとホッとしたのは言うまでもない。
※なお意図的に遅れて合流、などを除いて他のカテゴリと混走状態になった場合の協力は明確に許可されている。

レースまでのトレーニングなど

昨年11月、おきなわがレースキャンセルとなった後、正月前後は11日間一切運動せず、食べまくったので体重も当然激増、そこから一応トレーニングは再開して4月までは時間を増やしながら順調に積み上げた感じだったが、5月のGWも一切乗らなかったところあたりから時間をこなすことが苦痛になって、だんだんエンデュランスパフォーマンスが落ちてしまう感じになったまま、レースを迎えてしまった。
結局、昨年10月に都民の森まで走ったのを最後に外を走ってないなんていうありさまで、長時間をほとんどこなさなかったせいかPMC的にはCTLが80をちょっと超えたくらい、という微妙な感じになった。テンポ~FTP付近をいつもどおりこなしてベースはまあ悪くないかな、という感じだが、正直、こんな本格山岳コースでこの状態は不安しかないぞ……。

CTL 100くらいは積んでおきたかった……。

一方、体重も5月中旬時点で朝イチ71kgと赤信号が点灯したので緊急で減量。ひとまず3週間で64kg程度まで落とすことには成功したものの、いつも以上のクラッシュダイエットは急激すぎてこれもこれでまた不安……。毎度もう少し計画的にできないものか。

使用機材

いつものÉmondaに、フロント54-41T、リア10-33T、etc.……早い話、いつもと同じ、であるw
MadoneがやっとGen.4までの路線に回帰して正常進化したし、そろそろ欲しいぞ!

TREK Émonda SLR 2021

レース前日

いつものホテルでバイキング形式の朝食をしっかり食べる。11時ごろからレースの受付が始まるようだったのでひとまず懸案をなくしてから、すぐにコースの試走をすることにした。コースの道はすべて走ったことがあり知っているものの、逆から走るとまた印象もガラッと変わるので全行程を試走して感触を確かめたが、パノラマラインの登りが思ったより手前から始まっていてとても長く、以前に増して集団効果が大きくなりそうだと予想。やはりここまでは集団で生き残ることを考える立ち回りとなるかな、という印象。途中、15時ごろという中途半端な時間だったが、展望台のレストハウスで早めの夕食を取ってホテルに戻ったら早々に寝ることにした。結果20時過ぎには横になって寝てしまうというかつてないパターンだが、とてもよかったので今後もレース前はこんな感じにしようかと思う。

ゲン担ぎ(?)のカツカレー

レース当日

朝食は4時半から提供開始ということで、わずかばかり遅れていくと大勢がすでに食事をしている。6時10分スタートなので、炭水化物を中心に軽めに、胃もたれしないものを選ぶ。ドリンクはMAURTEN Drink Mix 320 CAF 100を2本、念のためジェルも2本。スタートまでは、バイクを並べて知り合いやはじめましての方に声をかけたりしてまったり過ごすとすぐにスタート時間となった。

炭水化物は種類を変えて、あとは消化に影響の少ない野菜少々といった感じ。

レーススタート

号砲とともにスタートすると、パレードだと思っていたのでゆったり構えていたが、先導車も見当たらず最初の下りからみんな速い……。
下り坂のまま最初の右折があるのでちょっとヒヤヒヤしながら右折すると、ここで先導車が蓋をして集団が減速しパレード開始。最初から蓋をしてほしかったのは私だけだろうか?
割とすぐリアルスタートとなったが、いきなり一人逃げ出す。さらに何名かがその逃げに乗ろうという動きを見せていたが結局2人が先行する形。さすがにこのコースレイアウトでその選択は勇気があるというか無謀とういか……。先頭の動きに警戒はしつつも、逃げは視界の中から消えないギリギリの範囲で割とゆったりとしたペースで進んだ。

最初のピーク(80kmとの分岐)から下って海岸へ

結局スタートからの逃げはこのピークを前に吸収し前半のピークを過ぎる。ここからは基本的に下り基調となって分岐まで少しアップダウンを経るが、ここでうっかり先頭に飛び出し、さらにちょっと踏むと簡単に差が広がる。まだまだ集団は様子見の雰囲気で、少し先行して差が広がりそうな気配があるので強めに踏んでいく。
分岐を過ぎると本格的な下りが始まるが、序盤単独で下っていたものの集団はすぐに追い付いてきた。おそらく今回のコースレイアウト的にほぼノーブレーキのここが最速区間となるだろうと思っていた読みどおり、最高速度80.7km/hとかなりの高速で進む(とは言っても以前の逆回りパノラマラインのDHほどではないが)。
途中うっかり少し車間が開くと踏んでも踏んでも追い付かない。ここで離れてしまっても下りきってからの平坦で集団は一つになるだろうが、前の人数が10名程度いて復帰できないリスクを考え追い付くことを優先。後から見ると、1分14秒 Ave. 362W、41秒 Ave. 376W、16秒 Ave. 431W、Max 567Wとアホみたいに踏まされている……もう少し注意して離れないようにすべきだった。
下りきって川沿いに入ると、やはり集団はちょっと活性化して後続の差を広げようという動き。しかしこれは決まらず、すぐに集団は追い付いてきた。まあこればかりは後ろにも有力者が大勢いるのでそうなるよな。
ここから海岸までには2つほど丘超えがあるが、短いので集団が活性化することも誰かが強力に牽引するでもなくペースでこなす雰囲気。高速で進む平坦はローテに加わりつつ様子を見るが依然として距離を消化する感じ。まれに飛び出す人が……あれはローテ慣れしていないだけだったんだろうか。
ここで何人かトイレストップを宣言して止まったが、集団はあまり緩まない……不文律なのでどちらが正しいとも言い切れないのが微妙だが、しばらくは後ろが復帰したか左迫間さんとも声掛けしつつ気にしながら走るがなかなか帰ってこない。
一つ予定外だったのは、海岸の折り返しが以前のように国道229号線まで出て右折ではなく、途中の小道に誘導されて、あれ?となった。前日の下見でも確かに看板が確認できず変だなと思ったがそういうことか……ちょっと距離が短くなったくらいで面食らうほどではなかったものの、道が細く集団は縦一列になり、自分は先の件もあって少し緩めていたのでうっかり前と離れてしまった。ここでインターバルかかってしまったのはちょっと微妙だったな。

60km地点の左折~6人逃げグループ形成

折り返してからしばらくしてようやく後ろも追い付いてきた様子だったが、このあたりは風力発電の風車が設置されていることからもわかるとおり比較的風が強い地域で、今年ももれなく前方からの強風で集団は細く長くなる。ここまで特に目立った動きはなく比較的淡々と距離をこなしてきて60km過ぎの左折を迎えた。
ここを過ぎると、80kmの分岐、パノラマラインに向けて明らかな登り基調となり集団はさらに縦に伸びる。その間隙を縫い、スプリントポイント狙いと思われる伊織さんの動きに数名が同調し、ペースを一気に上げて集団から離れていくのが見えた。メンツには左迫間さん、中尾さんがいるようで、これは明らかにスプリント賞狙いではない様子なのでそのまま行かせてはまずいと思われたが、集団、先頭はまったく追う気もなく容認している。
みるみる差が広がるので、先頭から10人程度後方にいたが迷わず一気に加速して先頭を追った。
3分5秒、Ave. 321Wほどだろうか、それなりに脚を使って追い付くと、やはり逃げの集団だったけれど、なんというメンツ。SHIDOの中尾さん、GINRIN熊本の左迫間さん、WANGANの石橋さん、カデナロケッツの岡さん、ロードレース男子部の伊織さんという豪華メンバーでローテをがんがん回す。疲れたから休むとか言っていられないので息をつく暇もなく先頭交代し回していると、すぐに集団との差は1分10秒程度まで開いた。
スプリントポイント目前で伊織さんが仕掛けて無事スプリント賞を確定させると、今日の仕事はおわりと手を振って離れていった。「えー、マジでー?」と見送ったが、グループは全員逃げで意思が統一されていたので、ローテを順調に回しているとさらに2分まで差は広がった。

逃げグループの5名 (UCI Granfondo World Series公式写真より)

まだ逃げに気づかれていない可能性もあるし、このまま3分を超えて5分程度までギャップを広げることができれば勝負はこのメンツで決まりか?と考えながら走っていたが、2分から差が広がらない……。集団も逃げに気づいてペースが上がったか?と思ったが逃げると決めたからには腹をくくるしかない。
70km地点の左折を過ぎ、いよいよ斜度が上がって本格的な登りが始まる……そのとき、中尾さんが「腰が~」と言ってじりじり離れてしまい4人になり、ここからずっと自分が先頭固定で一本牽きとなった。
登坂モードになって少し踏み込むと後ろの3人は少しきつかったようで、「兄貴!落として!」の声が何度かかかる。さらに「ひとりで行ったほうが速いと思いますけどどうします?」と岡さんに聞かれるも、頭数そろえていくことを選択し「4人で行こう」と声をかけて多少抑え気味のペースを維持して登坂を続けた。

パノラマライン~KOM

80kmとの分岐に戻りいよいよパノラマラインに入るが、3人はしっかりペースについてきている。たまに後ろから「兄貴落として」の声がかかるので「左迫間さん不気味やわ~w」と冗談交じりに返していたら、事前の情報どおり調子が悪かったようで、補給所を過ぎてしばらくだろうか、気づいたら岡さんと自分の2人になっていた。パノラマラインも終盤に近付き視界が開けたころ、なんと後ろから1名、BREZZAの大森さんが追い付いてきた。「KOM取っていい?」と聞いてきたのに対して「いいよー」と岡さん。ちょっと、そこ俺取りたかった……の声もむなしく、ペースを上げて離れていこうとするので追おうとしたが、さすがに追い付いてきただけあって、ついていくのはちょっとツラそうなのでそのままのペースを維持、あっさりKOMを譲り渡してしまった。こればかりはあとから言っても仕方ないが、一人で行く決断をしていれば僅差でとれていたよなとか考えてしまうとちょっと切ない。多少緩めていたとはいえ、一本牽きだった40分ほどはAve. 310W程度では踏んていてそこそこいいペースなんだけど、この程度じゃ勝負できない現実があるのがつらいw

パノラマラインDHからのアップダウン、残り25km逃げ吸収まで

KOMを過ぎても、岡さんはダウンヒル苦手というので下りも自分がガンガン飛ばしていく。中盤で先行していた大森さんも吸収して3人となった。DHがひと段落してアップダウンの区間に入ると、登りで大森さんのペースに若干ついていけず遅れ気味になりながら下りで追いつくを繰り返す感じでなんとか食い下がっていたが、MOTOから「後ろ50秒!」の声。やっぱり追い付いてきたか……若干あきらめムードが漂い、どうします?と相談されたが、「今さら失うものなんて何もないんだから最後まで粘るぞ!」と言って逃げ続けた。
しかし、やはりというかアップダウンでの集団の力は大きく、次に聞くと40秒と。次の瞬間には直線の遠くに集団が見えて、最後の登りまで若干距離も残っていたためさすがにこれは無理か……と集団に戻ることを選択。
吸収されたのはほぼ最後の下り、およそ残り25km地点だったが、やっぱ下りも集団だと楽だし、ちょっと気を抜くと車間が離れそうなほど速い。ここで残りのドリンクを飲み切り最後の急坂に備えた。

最後のピーク

いよいよ最後の勝負どころの登坂が始まり、このコース中でも最大級の斜度がここで襲ってくる。さすがに逃げ続けた脚にはかなりキツく、序盤早々にペースについていけなくなってしまった。ここで石にかじりついてでもついていく根性がないところがなんとも情けないが、先頭争いからは完全に脱落してしまった。
だがここが踏ん張りどころ、後続に追い付かれないように今出せる全力で登る。それでもデータを見返すと5倍弱程度では登っているよう。みんなはえーわ……。
無事ピークを越えたらあとは比羅夫まではずっと下り、最高の景色の中を気持ちよく降っていく。残り5km、4km、3kmと看板が見えていよいよ終わりか、前から落ちてくる選手はいないかなと思いながら走っていたが、あれに生き残れる選手が落ちてくるはずもなくw
最後の坂はゴールまで生き残れなかった残念な思いと、それでも楽しいレースだったなという思い、今年も無事終わったなという安堵感とともにゲートをくぐった。

今年も無事完走

レースを終えて

娘を連れた妻がすぐにかけつけて、「19位みたい」と。これならなんとか上位25%は確保できたかーとここで一安心。不平不満も言いつつ、いつも懸命にサポートしてくれる妻には感謝しかない。結局ジェルは飲まず……どこかのタイミングで摂っておいてもよかったかもしれない。
しばらくすると一緒に逃げた面々が戻ってきたので、お疲れ様でした、あの逃げはアツかった!とひとしきり談笑して、やっぱロードレースはこれだからやめられないよな。と。
無事メダルを受け取ることができ、世界選手権への切符をいざ手に入れてみると、やっぱり出たくなるのが人の性で、まったくもって贅沢な悩みだ。

いつからか、メダルの裏に獲得年が刻印されるようになった。

いったんホテルに戻って温泉で汗を流していると、先週自転車にはじめて乗ったばかりで80kmを完走したという人とひとしきりお話したり。オワコンとかいろいろ言われたりするけど、こうして裾野が広がっていくことを願ってやまない。
結果としてはあまりパッとしない順位ではあったけれど、自分の力を試せるだけ試せたんじゃないかな。いよいよ来年はニセコが世界選手権の舞台となるので、もう一段強くなってここに戻ってくるぞ!

  • タイム:3時間59分10秒(Top差 7分25秒)
  • 平均:229W
  • NP:271W